III.北朝鮮の人事秩序と体系

1.人事秩序と規律

 先に見たように、「党の唯一思想体系確立の10大原則」に明示された条項には、北朝鮮の人事秩序と規律に対して、「個別的幹部が勝手に幹部を 付け離す行為に対しては、黙過できず、強い闘争を行い、幹部事業において制定された秩序と党的規律を徹底して守らなければならない」と明白に明らかにしている。これは、北朝鮮の全ての人事処理において、金正日の唯一的統制原則を厳格に遵守すること、言い換えれば、金正日の外にその誰も、人事権を恣意に濫用できないようにする規律を確立するものだと言える。

 北朝鮮において、金父子の世襲独裁体制の完全な構築と強固化における実質的な術と看取されているこの「10大原則」に、これと同じ人事条項をはめ込めなかった理由は、60年代末までの北朝鮮の権力闘争過程において、金父子が得た「教訓と結論」に起因すると言える。

 既に良く知られているように、北朝鮮でのいわゆる「反宗派闘争の歴史的教訓」は、党と政府、軍部の指導層内で人事権を掌握していた「政治的野心家」達がこのような権限を利用して、権力層に自分の派閥を形成・拡張し、結局は、金日成の独裁に組織的に抵抗していったものである。この時から、金日成は、党権を掌握しつつ、最も先に人事権から自身の唯一的統制下に置く措置を取った。何となれば、北朝鮮の全ての人事権は、既に金日成により、党が独占していたことから、党の人事権を自身が直接ねじ込むということは、結局、北朝鮮の全ての人事権を掌握するということを意味するためだった。

 70年代初めまでだけ見ても、労働党中央委員会の各部署は、政治、経済、軍事、社会等の担当分野の幹部選抜等、人事を独裁的に進行し、最終決定は、党中央委員会秘書局でするように秩序が立てられていた。金正日は、先ず、党内各部署が各々持っていたこのような人事権を組織指導部と幹部部に集中させ、他部署は、担当分野に対する政策的指導のみするように措置を取った。

 80年代に入って、彼は、自身の権力地盤の強化と共に、人事の最終決定権を漸次秘書局から自分個人に集中させ、自分を経て、金日成の裁可を受ける方法に体系を変化させ、80年代末に至っては、最高位層の一部人事を除外しては、大部分の人事を自分が直接最終決定する体系を確立した。

 結局、労働党規約上の秘書局の人事権は、形式的な外観だけ残し、北朝鮮の人事は、金正日個人の独占物に完全に転落してしまった。その理由は、 とやかく言わずに、金正日が集体的討議や協議制より、個人の決心に従い、思い通りに人事を処理できる人事制度が自身の後継体制構築により有利になるという判断によるものと言える。

 金正日は、中央の人事はこのように自分に集中させつつも、地方党機関と下級党組織が自体の権限に限り、進行できる人事権限は、相当程度弱化させ、上級党に権限を委譲させるか、該当党委員会の集体的合意を経るようにする規律を立て、個別的な幹部が人事権を濫用するか、非組織的かつ無規律的なt現象が現れないように、厳格な人事秩序を確立した。特に、軍人事の場合、金正日は、90年代に入って、党の介入や関与を相当部分弱化させ、自身が直接細部事項まで 変えられる方向に軍部人事に対する直接的な統制を強化している。

2.人事機構体系

ア.幹部選抜体系

 北朝鮮の人事担当機構体系は、大きく幹部選抜体系と批准(決定)及び合意体系に区分される。幹部選抜体系は、幹部候補を選抜し、身元確認過程を経て、上部に推薦するか、上部で指名した候補を検閲確認する体系を意味し、このような機能を遂行するところが、労働党中央委員会組織指導部と幹部部、そして地方党委員会の組織部と国家及び政府と社会の各部門と機関にある幹部処又は幹部課である。このような中央と地方、上部の下部の各々異なる人事担当機構は、相互統制と監督、報告と服従の緊密な関係にある。

○労働党組織指導部幹部課

 北朝鮮の権力核心の象徴である労働党中央委員会組織指導部には、北朝鮮全域に対する党の指導と統制機能を担当する各個の部署と共に、人事業務のみを専担する各個の幹部課がある。組織指導部幹部課の人事対象と機能は、次の通りである。

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党政治局委員及び候補委員、党中央委員会委員及び候補委員の肩書きを持った党と国家、政府の最高位層の幹部候補(副主席、総理、副総理、党中央委員会秘書、部長、副部長、各道及び直轄市党責任秘書、政務院部長、一部副部長、軍部と保安機関の最高位幹部等)は、金正日が直接任命及び解任するが、彼らに対する身元及び動向把握と確認は、組織指導部が行い、金正日に報告する。

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この外に、党中央委員会委員及び候補委員の肩書きを持った政務院副部長と道(直轄市)行政経済委員会委員長、一部連合企業所支配人又は党責任秘書等、国家と政府、社会団体とその他の機関、企業所、単位の高位層幹部は、組織指導部が選抜し、金正日の批准を経て、任命する。

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党中央委員会と地方と下級の全ての党機関において勤務する各級党幹部と党一群の人事を専担する。

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将官級以上の全ての軍部及び保安、司法検察機関の高位層人事を専担する。

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海外公館派遣大使、党秘書、武官等の人事を専担する。

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金正日の警護と側近業務補佐及び生活保障成員の人事選抜を専担する。

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党幹部養成及び再教育事業を組織執行する。

○労働党幹部部

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中央党組織指導部の人事対象を除外した国家と政府の局長級以下の全ての幹部と各級公務員の人事を専担する。

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外交官等、全ての海外公館派遣対象と各級代表団、海外出張者、留学及び演習等、全ての海外旅行者の人事を専担する。

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金日成総合大学を始めとする全ての中央大学卒業生中から国家及び政府機関(別名、中央機関)に配置される対象の人事を専担する。

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国家と政府の全ての行政及び経済部門幹部と一般公務員の再教育と養成を専担する。

○国家機関及び各部門の人事担当部署

 人民武力部幹部局、外交部幹部処、金日成総合大学幹部課等、北朝鮮の全ての機関と部門、単位にある人事専担機構は、形式上としては、党委員会に属せず、行政部署として独立しているが、徹底して党中央委員会組織指導部や幹部部の直接的で、唯一的な指導と監督、統制下に自己部門の人事業務を実行する。

○地方党委員会組織部

 道(直轄市)、市(区域)、軍党責任秘書と秘書、行政経済委員会委員長と副委員長等、地方団体長を始めとし、中央において直接人事を行う対象を除外したその他の下級幹部と公務員等に対する人事権は、道(直轄市)、市(区域)、郡党委員会の組織指導部が行使しており、人事対象がどの比重なのかに従い、上部の結論を受けて処理することもあり、自体で処理することもある。

イ.人事批准及び合意体系

 人事担当機構が選抜して推薦した人事対象に対する最終決定は、対象がどの級の職位に任命されるかに従い、 各々異なる級で行われる。北朝鮮において、人事を最終決定できる権限がどの水準なのかに従い、秘書局批准対象、党中央委員会組織指導部批准対象、組織指導部合意対象、党中央委員会幹部部批准対象、幹部部合意対象、道(直轄市)党委員会秘書処批准対象、道(直轄市)党委員会執行委員会合意対象、市(区域)、郡党委員会秘書処批准対象と執行委員会合意対象、中央機関党委員会秘書処批准対象又は執行委員会合意対象等に区分される。

○秘書局批准対象

 先に言及したように、労働党の人事秩序によれば、党中央委員会秘書局が全ての高位層幹部に対する人事の最終決定権を行使するようにされているが、現在は、秘書局のこのような権限は、有名無実なものとされ、代わりに金正日が組織指導部や幹部部

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党機関の場合、中央党は、秘書から末端の指導員までの全ての幹部と下級成員、道(直轄市)党委員会は、責任秘書と秘書、部長まで、市(区域)、郡党委員会は、責任秘書までの高位党幹部と国家及び政府、経済機関とその他の団体の初級党委員会秘書までの党一群

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国家及び政府機関の場合、外交部等、重要機関は、局長級以上、その他の機関は、総局長以上の全ての幹部

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人民武力部、国家安全保衛部、社会安全部等、軍部と保安機関は、全ての将官級幹部と前方地帯の場合、連隊長及び連隊政治委員までの高位幹部、道(直轄市)保衛部長と副部長、安全局長及び副局長、郡(区域)保衛部長と安全部長までの幹部

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中央党3号庁舎(対南部署)所属の全ての幹部と工作員

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全ての海外派遣公館長及び外交官と武官、その他の公館員、海外派遣代表団団長及び成員、主要海外出張成員

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地方政権及び行政経済機関の場合、道(直轄市)人民委員会副委員長(委員長は、党責任秘書が兼任)と行政経済委員会副委員長までの幹部

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金正日の側近警護及び業務生活保障成員

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その他の党中央委員会委員及び候補委員、最高人民会議代議員とこのような肩書きを持った連合企業所及び重要工場、企業所党秘書及び支配人等が金正日の直接的な批准により、任命されるか、解任されるのである。

 最高位幹部の人事に対する公式発表は、憲法又は労働党規約に従い、「中央人民委員会政令」や、党中央委員会秘書局決定、金正日の「最高司令官命令」、最高人民会議決定等の形式で行われている。

○党中央委員会組織指導部合意対象

 金正日の批准の代わりに組織指導部が合意するものとして、人事が最終決定され得る人事対象は、次の通りである。

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中央党を除外した地方と下級の各級党機関の幹部中、秘書局対象ではない幹部と党一群

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人民武力部、国家安全保衛部、社会安全部等、軍部と保安機関の副局長級幹部。この場合、組織指導部1副部長や担当副部長の最終決済を通して批准される。

○党中央委員会幹部部合意対象

 中央党幹部部が金正日の批准までを経ず、自体で最終合意を行うことができる人事対象は、以下の通りである。

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外交部を始めとする重要機関の場合、副局長とそれ以下の公務員、その他の機関の場合、局長級とそれ以下の幹部と公務員

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海外公館に派遣される無線手、運転技師等と留学生、演習生、労働者、一部比重が低い非公式的経済及び貿易、外貨稼ぎ関連代表団成員や海外出張者

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中央機関に配置される大学卒業生等。この場合、幹部担当秘書(現在、金国泰)の決裁により最終批准が行われている。

○地方及び下級党委員会合意対象

 国家及び政府機関に勤務する幹部と公務員を除外した道(直轄市)、市(区域)、軍等、地方の行政及び経済、社会部門幹部と公務員の中から、中央党組織指導部や幹部部の合意対象ではない下級幹部と公務員の人事は、該当地域や中央機関の党委員会秘書処や執行委員会の合意により最終決定される。

3.人事手続と過程

ア.人事手続関連概念的問題

 北朝鮮の具体的な人事手続と過程を理解しようとすれば、北朝鮮で使われる人事関連用語を先ず見てみることが必要である。

 北朝鮮の人事手続には、大体として人事対象選抜と推薦、「人物審査」又は談話、身元照会及び現地確認、身元保証等、人事過程と関連した問題と共に、人事に必要な各種文件(幹部履歴文件、住民登録文件、評定書等)と様式(履歴書、自叙伝、家系表等)に関する問題がある。

○人事手続と関連した用語

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「人物審査」又は「談話」とは、韓国の面接のようなもので、人事担当者が人事対象と直接会うか、彼の外貌と知的能力、性格、言論、健康状態、その他家族関係や生活 仕儀等と共に重要なのは、その思想学習実態と思想的準備程度、個人性向等を問答式方法で直接把握し、総合的に評価する人事の一方法である。

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身元照会とは、人事担当者が所属人事機関に保管された人事対象者の「幹部履歴文件」と「評定書」等を本人の以前の勤務地や出生地又は 居住地の人事担当機関との電話通話や文件発送等を通して、そして現在の居住地と以前の居住地の社会安全部(警察)住民登録課に保管されている「住民登録文件」と 対照確認をする過程を言う。

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現地確認は、このような人事関連文件に記載された内容と資料を実際に確認するため、本人と家族、親戚の出生地や居住地、過去の勤務地まで直接訪ね、文件上の内容を少なくとも3名以上の現地証人と会って確認し、彼らの身元保証を受ける過程を意味する。

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身元保証とは、人事担当者が人事対象者が働いている職場や部署の責任者と2名以上の同僚、居住地の人民班長(韓国の 統長格)、本人の過去の居住地と故郷、以前の勤務地等の生存状態の3名以上の証人を直接訪ねて会うか、人事文件の本人経歴や身分、家族親戚関係資料が正確なのか、異なるのかを確認し、本人が人事適格者か不適格者かということを担保する指紋確認を受ける過程を言う。

 これは、後日、人事対象の身元が誤って確認されたことが分かるか、人事後、本人が過誤を犯した場合、人事担当者のみならず、人事当時、身元保証を立てた人々全体が連帯的責任を負うようにするという目的で取った措置として、その位身元確認を客観的に正確にするための手続なのである。

 このように、身元確認手続と過程は、人事担当者にあって最も難しく、時間と手間が多く かかる辛い作業であることから、人事担当機関で働く人の中では、「家族親戚が多く、過去の経歴が複雑な人」は、身元照会もするのが難しく、また今後、人事後に何事かが起こるかも知れず、可及的ならば、当初から人事対象に選抜しないようにする忌避傾向が優勢である。

 また、人事担当者は、家族親戚中に6.25や過去に確認できない理由で行方不明になった者がいる対象は、当初から、人事対象から除外されることを原則にしている。そのために、北朝鮮では、家族や親戚中に成分が悪い者でも確認だけされれば、行方不明よりはましという言葉まである。

○人事文献と関連した用語

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幹部履歴文件

 北朝鮮において、全ての幹部と公務員の人事過程は、先ず、人事対象が自身の「自叙伝」と履歴書、家系表を書き出すことから始められる。このような文件は、全て北朝鮮の人事規定と秩序に従い、統一的に作られた様式に書くようにされている。

 履歴書様式には、本人の名前と別名、出生地と年度、政党関係と所属機関、団体、出身成分と社会成分、具体的な学歴と経歴と共に、「解放前、日帝機関や団体等に加担したか、協力したことがあるか?祖国解放戦争時期、治安隊や敵機関、団体に加担するか、協力したことがあるか?宗派に加担するか、協力したことがあるか?等」の質問欄があり、その他過去の表彰や処罰関係等をその理由と時期等と共に、具体的に記述するようにされている。

 自叙伝は、本人が 生まれ育ってきた社会的背景と家庭環境、教育過程と生活経路を作文形式で書くことによって、これを通して、その者の思想及び精神的準備程度とそれに影響を与えた 各時期の客観的環境のみならず、その筆記及び作文能力等も判断できることから、誰もが自叙伝を書くときには、文章と字、単語一つも最大限良く書かなければならないが、自身が金父子の「愛と配慮」に心から感謝し、彼に報いる透徹した覚悟を持っているということが良く反映されるように、「感動的に」慎重に文を作らなければならない。

 家系表は、言葉通り、家族と親姻族に関する文件として、人事対象に従い、差異があるが、最も 難しい党幹部と保安機関、外交官等の人事の場合、父母と子女、兄弟と配偶者関係等、家族は勿論、本人直系の6〜8親等と 母方4親等、外戚4親等まで、配偶者直系の4〜5親等と母方4親等、外戚4親等まで、解放前と解放後、6.25戦争時期と現在までの行跡と身分等を具体的に叙述するようにされている。

 以上の分件は、徹底して正確に知っている真実通りに書かなければならず、万一、不正確であるか、歪曲されるか、偽るか、漏れ落ちること等は、全て「履歴欺瞞」と評価され、犯罪者の取扱を受ける。実地に、北朝鮮では、兄が朝鮮戦争当時韓国側に殺害されたものと記録され、「良い成分」と取り扱われ、党幹部までした人が、最近死んだことになっていた兄が在米僑胞となって現れた弾みに、履歴欺瞞者として出党、撤職され、地方に送られた事例もある。

 人事担当者は、このように本人が人事時毎に 書き出した履歴書と自叙伝、家系表と共に、身元照会と現地確認を通して作成した身元照会資料、人事対象の党組織責任者(一般的に、党細胞秘書)が作成した評定書等を 一つにまとめ、「幹部履歴文件」を作り、自分の部署の機要文書室(機密資料及び文件保管と閲覧のための部屋)に配置しておき、人事時毎、これを利用するか、修正補完する。

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住民登録文件

 北朝鮮は、既に1967年までに、北朝鮮に住む全住民を対象にした住民登録事業を完成し、社会安全部と各道及び市、郡、区域等、地方の安全局や、安全局にある住民登録課を通して、管轄地域に住んでいる全員とその家族の住民登録文件を作成及び保管している。言うなれば、韓国の洞事務所の役割を北朝鮮は、警察が担当している計算だが、80年代初盤から始まった社会安全部の住民登録体系の電算化がコンピュータと技術人力の不足により、今まで中央と道及び直轄市水準に止まっているものと知られている。

 住民登録文件には、該当地域の全住民の出生と死亡、経歴と家族親戚関係と過去の行跡、思想動向等が各人の指紋とともに、世帯別に具体的に整理されており、一定の期間を周期に弛まず修正、保管されている。本人には、徹底した秘密とされ、ただ担当者と公式的な承認を受けた人事担当者に限ってのみ、閲覧が厳格に制限されているこの住民登録文件を見れば、本人と家族、親戚の過去と現在の全ての事項が具体的に記載されており、この文件の内容のために、人事上、被害を受ける者すら、その被害の原因を知ることができなくなっているのである。

 本人は、自身が常に人事上の不利益を受けても、それが住民登録文件に否定的内容が記載されているためということを知らない者が絶対多数であり、あるいは、住民登録内容が事実と異なり、誤って記載されており、自身が不利益を受けたことを知らされたとしても、どこにも告訴すらできない。何故ならば、住民登録内容は、それ自体が極秘で、一旦漏洩すれば、本人や住民登録担当者全員が法的責任を免れないためである。

イ.人事手続と過程

 北朝鮮において、具体的に人事がいかなる手続と過程を経るのか見るため、便宜上、大学卒業後の社会配置と昇進、調動(職位上、同級移動)、職場移動、解任、海外派遣等の順序で見てみることにする。

1)大学卒業生の社会配置

 既に言及したが、金日成総合大学を始めとした主要大学卒業生は、人事担当機構に従い、中央党組織指導部人事対象と幹部部人事対象、道や市等、地方党委員会人事対象、その他特殊対象等、大きく4分類に分類され、社会配置のための人事を経ることになる。

○中央党組織指導部人事対象

 大学卒業生の中から中央党やその他の各級党機関において働く党幹部や党一群を選抜する人事は、中央党組織指導部が主管する。

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選抜及び身元照会過程

 党中央委員会組織指導部幹部1課は、毎年、中央と地方の党機関において必要な党幹部と党一群の需要を把握し、総員計画を立てた後、主として金日成総合大学を始めとする主要大学の党委員会に必要な人員数を割り当てる。

 大学党委員会は、大学内の各種学部(主として、社会科学学部)の党秘書を通して、卒業を控えた(大体、卒業する1〜2年前、又は3年前)学生の中から党一群資格を備えた学生(労働党員として入学前に軍服務又は思想動向、家庭周囲環境と大学生活が「綺麗な」者)を割り当てられた数以上で選抜し、個別的に人物審査を行った後、ここで通過した対象に限り、大学幹部課を通して、彼らに履歴書と自叙伝、家系表を書くことを指示する。

 大学幹部課は、彼らが書いた文献を数ヶ月間の身元照会と現地確認過程を経て、再確認した後、完全無欠だと認定された学生の名簿草案を作り、各人の幹部履歴文献と共に、大学党委員会を通して、中央党組織指導部幹部課に発送する。中央党組織指導部は、大学等委員会が送った人事対象の文献に基づき、直接大学に来て、各人を談話形式で会い、検討を行う。検討を通過した対象に限り、組織指導部自体で本人に対する2次身元照会と現地確認を実施し、最終的に党一群人事対象を確定する。このような人事の全過程において脱落した学生は、他の学生と共に、中央党幹部部の人事対象に留められる。

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人事発令と登用過程

 党一群候補に定められた対象の人事が組織指導部1副部長最終決裁により決定されれば、組織指導部幹部課担当副部長や課長が人事対象を卒業直前に中央党に呼ばれ、集体的に人事発令を行う。彼らは、先ず平壌市や地方の道党又は市党、郡党や区域党委員会の末端部員(過去に指導員)に配置され、約3年程度の「現実体験」過程を経ることになる。

 この過程に党事業方法と党一群の「風貌」を充分に備えたと認定された者は、該当党委員会の推薦形式で金日成高級党学校に送られ、専門党一群教育を受ける。金日成高級党学校において、3〜4年間の教育過程を優秀な成績で卒業した者は、組織指導部の人事と金正日の最終批准を経て、中央党や各級党機関に正式に配置されるか、幹部に登用される。

 一言で言って、北朝鮮における身分と家庭及び成長背景、学歴と経歴において、「雑思想」に「汚染」されるいかなる主・客観的条件も全くない最高のエリートが先ず行くところが、正に党機関である。

○中央党幹部部人事対象

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配置前段階

 中央党組織指導部の人事対象ではないその他の大学卒業生中から出身成分や学業成績、大学生活や思想動向等において健全ではない評価を受けた一部を除外して、残りは、中央党幹部部の人事主管下に国家及び行政、経済、社会、文化等、各部門に配置される。

 幹部部の人事もやはり、組織指導部とほぼ同じ手続と過程を経るが、ただし、身元照会や現地確認の慎重性の程度において党一群人事より深くないものである。中央党幹部部は、毎年、国家及び政府機関とその他の中央機関において必要とされる人材の需要を各部門の人事担当部署から報告を受け、総合的に総員計画を立てた後、該当分野の専攻と専門知識に従い、各大学に人事計画を送る。大学幹部課は、中央党幹部部が割り当てた人事計画に基づき、大学内の各学部別に卒業生の社会配置のための人事に着手する。

 大学幹部課は、先ず卒業生毎に履歴書と自叙伝、家系表を作成するようにし、一方では、学部党秘書と生活指導教員(韓国の学生処長と似たようなもの)を通して、各人の学業成績と品行、思想動向と性格、大学期間の生活実態等を具体的に把握し、人性評価を行う。卒業生に対する把握が初歩的に進行すれば、大学幹部課は、卒業生に対する具体的な身元照会と現地確認を実施し、出身成分と過程現況、経歴等を完全に調査確認し、大体の配置草案を作り、卒業生の幹部履歴文献と共に、中央党幹部部に発送する。

 中央党幹部部は、一方では、自体で卒業生の2次身元確認を実施しつつ、もう一方では、大学に直接来て、各卒業生に対する談話を進行し、大学幹部課の人事資料を再確認する。談話に入る前に、大学幹部課の担当者が学生に予め注意を与える場合がある。それは、談話時に幹部部一群が形式的にでも、どこに行き、何をしたいのかを訊ねれば、無条件、「党が呼ぶところならば、そのどこにでも行き、何事でも行う覚悟ができている」と答弁しなければならないのである。

 万一、学生がこのシナリオ通りに答弁せず、「どこに行きたい」とか、「私をどこに送って欲しい」と懇請する方式で返答すれば、「党の要求ならば、場所を選ばない者が正に革命家であり、真の忠臣である」とか、「党と首領の信任と配慮で大学まで卒業したならば、それに報いようとする ただ1つの考えと無条件的で、絶対的な忠誠心だけを持つことが真の我が時代の大学生の姿勢で、本分である」というその場の訓示と批判と共に、これが人事評価に決定的に不利な作用をすることになる。

 一言で言って、大学卒業生の社会配置は、実に党で将棋の駒のように 、あちこちに移していることにより、将来の運命が決定される計算である。このために、大学卒業生は、卒業の数年前から中央党幹部部や大学幹部課等、人事関連機関に 列をなして、願うところに配置されるため、あらゆる手段と方法を動員し、この過程に権力と賄賂、顔面等、各種不正と非理が幅を利かせるのは、自然なこととなっている。

 特に最近になって深刻化している食糧難と生活難により、大学生は、卒業後、どうにかして外貨稼ぎ機関や貿易、外交部門等、外貨を 手に入れられる部門、食べて暮らすのに便利な外貨商店や、その他商業奉仕部門、党機関、保安機関等、権力機関に入ることを人生の目標にして、必死的に努力しており、地方出身大学生は、何事をしてでも、平壌市に配置されることを夢に感じている。

 尚且つ、90年代以後、平壌市すら食べて生きるのが難しい状況が来るや、甚だしくは、平壌出身者すら、最近では、羅津−先鋒自由貿易地帯のような展望的なところに行くことを「先見の明」がある計画と感じられているのが実情だが、ここに行くことは、平壌市に配置されるよりも難しくなっている。

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配置段階

 大学卒業生は、卒業試験と卒業論文発表まで終われば、卒業配置発表があるときまで、普通、2〜3ヶ月間することもなく遊び、待たされる。しかし、この期間こそ、真に力があり、金がある者には、「バック」と権力、顔面と賄賂を最大限動員する熾烈な「ロビー期間」であり、いかなる力も、物質的能力もない者には、一日一日を骨を削り、 胸を煩わせて過ごさなければならない苦痛のような期間なのである。

 このように退屈な待機状態が終わり、卒業配置日が来れば、卒業生は、全ての運命を天に任せたまま、大学講堂に集まり、中央党幹部部副部長の発表に接する。この発表が 正に卒業式を代替するものだが、1人ずつ名前を呼び、配置地を発表する時毎に、続くのは、歓呼と 嘆息、喜びと悲しみの涙、1日の別離かのような活気に満ちた姿と自暴自棄な絶望的な姿が混ぜっ返した発表上の風景は、卒業生に一生忘れたくても、忘れられない追憶を留めるだけである。

 卒業発表直後、各卒業生は、幹部部から下される「派遣状」と大学から受け取った卒業証書等を持って、配置地に 赴くための手続を行う。一旦配置案が発表されれば、卒業生は、そこを好もうが、嫌おうが、行かない訳にはいかない。何故ならば、大学幹部課では、中央党幹部部の配置案に従い、本人も知らずに、その幹部履歴文件と党委員会の評定書を配置される機関の幹部処に発送してしまうことから、この文件を本人が受け取る前には、配置地の外には、どこにも行けないためである。

 また、大学では、幹部部の配置案に従い、本人に動員移動証か青年同盟員移動証、軍事移動証、食料停止証明書(食糧配給カードを配置された場所で受け取れるようにした証明書)と労働手帳(本人が 該当職場で勤務した期間と労力日数等を記録した文件)を発給するが、これらもやはり、中央党幹部部から配置した勤務地の外には、効力を喪失するようにされている。

 卒業生は、このような文件を持って、大学幹部課から指定された日時に配置地の幹部課か幹部処に訪ねていけば、ここで具体的な部署配置をしてやる。この過程に韓国のような入社試験や面接のようなものはなく、配置された機関では、党から配置される者を無駄口なく受け入れなければならない。何故ならば、既に配置人事過程に中央党幹部部と該当機関の幹部部署間に、どんな人物が配置され、行き来することに対する充分な協議と合意が行われているためである。

○地方党委員会の人事対象

 大学卒業生の中から出身成分、学業成績、大学期間の生活等において問題がある評価を受けた者は、一旦、中央党幹部部の人事対象(中央機関配置対象)から除外され、その地域の道や市党委員会に人事権が渡されている。道(直轄市)党委員会組織部幹部課は、中央党幹部部と似た配置秩序と過程を経て、彼らを管轄地域の道又は市級機関や、区域又は郡級機関と部門に公務員に配置する。

○特殊な場合の人事対象

 中央党3号庁舎(社会文化部、作戦部、対外情報調査部、統一戦線部等の対南部署)において必要な工作員候補と人民武力部、護衛司令部、国家安全保衛部、社会安全部等、軍や保安機関において除隊しないまま、「委託教育」を受ける対象、各道や市等、地方党委員会組織部5課が選抜し、平壌音楽舞踊大学や平壌医学大学、商業大学等において特別教育を与える金正日の喜び組処女と看護士、接待婦等、奉仕成員を始めとする特殊な対象は、全ての秘書局対象として、大学期間、特別な問題がない限り、卒業成績に大きく関係なく、中央党組織指導部と該当機関の人事担当部署が合同で特殊な方法の人事を断行する。

 即ち、これらは、一般的に卒業試験や論文発表のような過程を経ておらず、「仮卒業」(卒業試験がなく、卒業前に先ず、「連れていく」卒業形式)させる。言うなれば、形式上大学卒業証を受け取れば良いだけである。その代わり、彼らに対する身分確認と思想的検討の水準は、そのどの階層よりも厳格で徹底する。彼らの人事基準において重要なことは、第1にも、第2にも、忠誠心と階級的土台、体力と健康、美貌であり、特異なのは、彼らの中に高位級権力層の子女が徹底して排除されていることである。

2)転勤及び入職、昇進と人事異動、解任等の人事手続

○転勤及び入職手続

 北朝鮮において、ある機関か職場から別の機関か職場に 移すこともやはり、中央党や道、市党委員会が人事を主管し、人を出すか、受け取る該当職場の人事担当部署は、上部の指示に従い、実務的な人事処理を行う役割のみを遂行するだけである。この場合にも、似たような選抜と身元確認手続を経て、発令は、中央党幹部部や道、市党委員会組織部において、本人を直接呼び出し、断行する。

 一度職場を移ろうとすれば、その手続と具備文件もやはり、大学卒業後の社会配置と同様に、党異動又は勤労団体異動、軍事異動、食料異動等、非常に複雑で、雑多である。一般的に、北朝鮮では、一回入った職場は、 平生職場という言葉がある位に、職場を変えることが難しいこととなっている。更に言えば、現在勤務中の職場が気に入らないとして、勝手に出ることもできないのである。それは、全ての人事が中央党幹部部や道、市党委員会で担当していることから、職場内の上級や下級全てが出すか、下す権限も、能力もないためである。

 職場移動のような人事も、北朝鮮では、ほぼ大部分が権力と賄賂、顔面関係等、不正と非理により進行されている。実際に、今、通っている職場が気に入らない者は、自分の職場の人事担当者ではなく、中央党幹部部や道、市党の人事担当者やその他権力者に付託し、「上から下して食わせる方法」を より好む。その外に、公式的に国家的必要により職場を移る場合は、本人の意思とは全く無関係に人事が進行される。

○昇進と調動(人事異動)、解任手続

 同じ機関や職場内で昇進をするか、別の部署に移るか、現職から解任される等の機関内人事もやはり、徹底して中央党や道、市党委員会の分となる。

ア)北朝鮮の職位体系

 北朝鮮の公務員社会には、韓国のように、政務職 を別に区分するか、事務官や書記官、理事官のような職級体系を別におかず、部長や局長、課長のような一律的な職位(職責)のみが存在している。これを具体的に上級から下級までの順位で見れば、次の通りである。

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党機関の場合、中央委員会の総秘書と秘書、部長、1副部長、副部長、課長、副課長、責任指導員、部員がおり、地方党委員会の場合、責任秘書、秘書、部長等の順位で、下級初級党委員会の場合、初級党秘書と副秘書、部員がいる。

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国家及び行政、経済機関の場合は、総理、副総理、委員長(長官級)、副委員長、部長(長官)、1副部長、副部長、総局長、副総局長、局長、副局長、処長、副処長、課長、室長、責任指導員又は担当指導員、指導員、補助指導員がある。しかし、機関の規模や重要性に従い、委員長職制や総局長職制、処長職制、室長職制がないところ(外交部等)もある。

 そして、外交部のように、一部機関では、副部長級に該当する責任参事と副部長と局長級間に該当する参事があり、局長級に該当する1級研究員、副局長級に該当する2級研究員、課長級に該当する3級研究員がいる。このような職制を置いた原因は、勤務年限が長いか、昇進するだけの功労にも拘らず、昇進する職制が 空いていないが、別の一種の待遇次元で提起された人事上の問題と見ることができる。

 大学を卒業した新入一群(新入社員)に初めて与えられる職制は、補助指導員である。人民武力部や社会安全部、護衛司令部、国家安全保衛部等、軍及び保安機関は、社会機関と異なり、統一的な軍事称号(階級)と職位が並存している。更に言えば、安全部も、韓国の警察組織で使われる警尉や警長のような階級の代わりに、軍隊のような階級を使用している。

イ)人事手続

 北朝鮮には、韓国のような職級定年制はなく、指導員や担当指導員等、下位職は、普通、3〜4年を 周期に、課長級以上は、定められた周期が別になく、昇進が行われる。該当機関や部門の人事担当部署では、毎年、機関内の全ての部署で必要な昇進関係に従った人事計画を立て、機関党委員会と部署内の党細胞秘書、行政責任者と協議を通して、人事対象を選抜する。選抜された対象は、先ず幹部課の人事担当者の談話を通過した後、身元確認過程を経て、この過程に韓国のような 試験は必要ない。

 勿論、北朝鮮にも、国家資格審査委員会というものがあり、公務員の専門知識と技術資格、外国語能力を認定する級数試験を毎年全国的規模で実施し、資格級数を付与及び 上げてやるが、これが人事に大きな作用をしていないと言える。幹部課では、一旦人事対象に対する全ての身元確認作業が終われば、その幹部履歴文件と人事関連文件を中央機関の場合、中央党幹部部に、道や市級機関である場合、道、市党委員会組織部に上げられる。

 上級人事担当機関では、各機関から上げられてくる昇進人事対象に関して、個別的な談話と自体の2次身元確認過程を経た後、確定した候補は、秘書局対象である場合、金正日にまで報告して批准を受け、その他は、該当級数による各批准及び合意体系により最終決定を行う。昇進関連人事発令は、主として、金日成や金正日の誕生日のような政治的名節を契機に断行することによって、名節の意味を刻み込ませ、昇進者の政治的覚醒も高める効果を取り入れている。

 機関内調動(ある部署から別の部署に同格異動)や、解任のような手続も、全てこれと同じ体系に従い、該当機関の人事担当部署が中央党や道、市党の人事担当部署の統制と指導下に遂行している。

3)軍人事手続

 人民武力部、護衛司令部、国家安全保衛部、社会安全部等、軍及び保安機関の人事は、金正日の指示に従い、党政治局や秘書局は勿論、そのどの党機関や行政部署も関与できず、ただ金正日が党中央委員会組織指導部を通して、直接取りまとめるように、体系を立てていた。

 金正日の直接的な指導と統制下に、中央党組織指導部の幹部4課は人民武力部の人事を、幹部5課は護衛司令部及び金正日の側近補佐成員の人事を、幹部6課は国家安全保衛部の人事を、幹部7課は社会安全部の人事を主管する。ここでは、その代表的事例である軍人事に対して言及することにする。

 軍人事事業は、金正日が組織指導部軍人事担当第1副部長(現在、李ヨンチョル)が担当した組織指導部幹部4課を通して、掌握して統制している。

 組織指導部幹部4課が人事権を行使する対象は、連隊長、連隊政治委員(後方軍団の連隊長と旅団政治委員は除外)、師団長、師団政治委員以上の全ての将星と海外公館に派遣される武官であり、それ以下級の軍幹部は、級数に従い、人民武力部や軍団系線で人事事業を行う。

 軍内部で人事を主管する部署は、朝鮮人民軍幹部局(1993年、金正日の指示により、総政治局組織部1課と2課、幹部部を総政治局から分離し、幹部局を新たに 持ち出した。)で、幹部局長は、人民武力部長と総政治局長にだけ服従するようにされている。人民軍幹部局は、人民軍党委員会秘書処会議又は人民武力部長、総政治局長、総参謀長の批准を受け、党中央委員会組織指導部幹部4課を通して、人事対象に従い、金正日の批准まで受けるか、組織指導部の合意により人事を決定する。80年初めまでは、軍人事の最終決定が党中央委員会秘書局決定により、80年代中葉からは、党中央委員会組織指導部批准により任命及び発令していたことをなくし、93年からは、金正日が最高司令官命令により人事発表を行う体系が立てられた。

4)海外派遣人事手続

 海外公館に外交官や貿易、対外経済(合営、合作、設備及び投資誘致等)、その他の目的で派遣されるか、公式及び非公式代表団やその他海外出張、演習及び留学、労働者等の資格で外国に派遣される等、全ての海外派遣関連人事は、公館長と武官、党秘書等、高位級の場合、中央党組織指導部が、その他は、全て中央党幹部部が主管する。

○海外公館派遣手続

 一般外交官やその他公館員の場合、人事対象は、主として外交部と対外文化連絡委員会、対外経済委員会所属貿易部や対外経済事業部等から選抜されることから、この文では、代表的ケースであるが後部の場合だけを見ることにする。

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機関幹部課の人事手続

 毎年、外交部幹部課は、海外公館で任期(普通、3〜4年)を 終え、召還される人員を予め掌握し、これと交代する新しい派遣対象を国別、国際機構別に選抜し、中央党幹部部に報告する。幹部課の地域担当者は、外交部内地域局を主として、別の局でも該当した外国語実力と外交実務能力を備えた対象を総合的に分析評価し、外交部党委員会の該当局担当者と局長、細胞秘書等と合意して選抜する。

 この過程もやはり、各種不正と非理的方法が日を追う毎に優勢を占めているのは同様で、特に中央党のような権力機関において、外交部幹部課やその他外交部幹部に、逆に圧力や請託が入ってくる場合が大部分を占めると言える。一旦選抜された対象は、先ず、幹部課の地域担当者との談話を経る。従って、幹部課談話は、本人や周囲の同僚に人事の着手が知らされる基本契機となる。勿論、人事担当者は、誰にも談話の目的や動機に対して語らないが、外交部に長期間勤務した者ならば、誰でも経験と体験で誰がどの国に派遣されるだろうということまでも、 直ぐに分かるのである。

 談話後、普通、2〜3ヶ月間の身元照会と現地確認を経るが、海外派遣対象に対する確認は、北朝鮮体制の特性上、他の階層の人事よりも遥かに厳格で、具体的に進行される。勿論、外交部自体が最高精鋭の基準に従い選抜されたエリートで構成されているが、それでも、人事担当者は、派遣対象の「海外での思想的変質」や、進んで、韓国帰順のような「不祥事」等、後日責任を恐れ、可能な限り、海外に 安心して送り出せる程度の完全な信任が担保される人物を選抜するため、「確認できることは、全て確認する」という選抜原則を固守しているのである。

 外交部幹部課は、人事対象の過去の経歴と家族関係による身元確認のため、北朝鮮の各地を隈なく 巡り、できるだけ多くの証人の保証資料(本人の身元と動向を担保する指紋確認)を確保する。身元確認手続が完結すれば、人事担当者は、最終的に本人の直系上官(担当副部長、局長、課長、当細胞秘書等)のような部署の職場同僚3名の指紋保証を受ける。言うなれば、後日良くない事が起これば、全員一緒に責任を負わせる一種の「連帯責任制」によるものである。このような全ての手続が終われば、幹部課は、人事文件草案を中央党幹部部と国際事業部に上げる。

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中央党の人事手続

 外交部から 人事文件が上がってくれば、先ず、中央党国際事業部が人事対象に対する検討を行う。国際部の検討目的は、人事対象が海外に出て行き、対外活動を円満に行えるのかということに 合わせている。言い換えれば、派遣対象の金日成や金正日の対外政策把握程度、主体思想と北朝鮮体制の「優越性」、北朝鮮の統一方案等を対外に積極宣伝できる思想理論的準備状態と外国語能力、国際情勢と世界常識に対する知識程度等、対外活動能力に関する問題を談話と試験の方法で評価するが、談話だけ見ても、指導員談話、課長談話、副部長談話等、数次例の検討過程を通過しなければならない。このような過程を通過した対象は、再び中央党幹部部に移される。

 中央党幹部部は、国際部の検討を通過した対象に限り、やはり、数次例の 各級の談話を実施し、一方では、2次身元確認を実施する。このように人事が始まり、幹部部の段階において締めくくられるのは、普通、6ヶ月 かかり、1年以上がかかる場合もある。中央党幹部部は、このような全ての人事確認手続が終結すれば、幹部担当秘書の決裁を経て、最終的に金正日に文件で報告し、批准を受け、金正日の批准日がそのまま人事発令日となる。

 批准が出れば、幹部部は、批准された人事対象を全部中央党幹部部副部長室に 呼ばれ、1人ずつ発表を行うが、副部長が「親愛なる指導者金正日同志の○○年○月○日親筆指示に従い、○○○同務を○○駐在大使館○○に任命します」と言えば、挙名された対象は、立ち上がって、「親愛なる指導者金正日同志の 大いなる政治的信任と配慮に、高い政治的自覚と技術をもって、忠誠で報います」と力強く返答しなければならない。このような発令形式は、北朝鮮での異なる全ての人事発令時にも同じである。

○その他の海外派遣手続

 海外公館派遣を除外した他の機関での海外出張や旅行は、短期的であろうが、長期的であろうが関係なく、先ず外交部派遣局の承認を受けなければならない。外交部派遣局は、北朝鮮の全ての機関と団体、個人の海外出張や旅行の目的と妥当性を充分に検討し、金正日の批准を受け、承認する。一旦、外交部の承認を受けた対象に限り、該当機関の幹部課が人事に着手するが、人事手続は勿論、外交部幹部課の手続も、似たような方法で進行する。

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最終更新日:2003/12/23

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